音楽家という職業にあうシャツ。

音楽家というカテゴリーを敢えて作らせて頂きましたが、音楽家がのお客様が多いわけではありません。ただ今回松任谷家御用達のオーダーシャツ屋として2016年1月号(2015年12月1日発売)の婦人画報で紹介を頂きました。間違いなく松任谷様のシャツをお作りさせて頂いております。

ただ個人情報保護の立場からご紹介はできません。松任谷正隆氏はベーシックでトラディショナルなシャツがお好きのようです。松任谷由実さんは当店のフィッティングがお気に召して頂いたようです。

ミュージシャン以外にも、当店はNHKの朝の連ドラ「花子とアン」そして「あさが来た」のシャツも一部お作りさせて頂いております。そのシャツの詳細はこちらから御覧ください。



その後松任谷正隆氏がMen's CLUBのコラム「僕の散財日記」で当店のオーダーシャツのご紹介を頂きました。お褒めのお言葉を頂き、本当に感謝申し上げます。

【記事全文】

昨年の春ごろ、僕は白いシャツで大騒ぎをした。このページにも書いたので覚えている方もいらっしゃるかもしれない。確か3日連続か4日連続でちゃんとした格好をしなくてはならなくて、でも白いシャツならたくさん持っているから大丈夫、と高をくくっていたら、い ざ用意をする段になって気に入ったものが一つもないことに気づき大騒ぎしたのだ。本当、あのときは自分で自分が嫌になった。白いシャツは基本だろう。その基本ができてないとはどういうことだ...? とはいえ、あのときの教訓として、白シャツほどデリケートなものはない、ということに気づけたことは僕にとって大きい。素材はもちろんのこと、カッティング、襟の高さ、形、それにあらゆるディ テールがスーツスタイルに大きな影響を及ぼすのだ。 10万円以上するようなシャツでもちょっとした要素で、自分の思うようなスタイリングにはならなかったりする。まあ、値段とスタイリングは別の話だから当たり前と言えば当たり前なのだが、こんなことさえわからなかった僕は本当に情けない限りである。おしゃれのことなんか語るんじゃないよ、と自分に言いたい。
 あの大騒ぎの後、実はいろいろと白いシャツを探し回った。散財日記であれだけ買ったでしょうが、と言われそうだけれど、もう二度とあんなパニックを起こしたくない僕としてはその後の散財も当然のことである。シャルベもボレリもバルバも、片っ端から違うカッティングのものを購入。で、どうだったのか、と言われれば、それはそれで満足したとも言える。スーツとの微妙なマッチングも、これだけの数があればぴったりくるものを見つけることもできる。それにそれぞれのメーカーの考え方もおぼろげながら見えてくる。白シャツには職人が見える、と言っても過言ではないだろう。一回着たらすぐにクリーニングに出さなければならなくて、そうなると傷みも激しくて、そんなところにお金をかけるのがどんな にバカらしくても、シャツにはなにか服 の醍醐味というか基本中の基本のものが 宿っている。もちろんストレッチ素材で カッティングに新しい風を吹き込んだも のもある。けれど、ストレッチはストレッ チ。白シャツの世界の中では亜流だと言 いたい。それは生のドラムと打ち込みの ドラムくらいに同じ音でも世界観が違う。 生のドラムに求められるものは正確なこ と、スピード感があること、グルーヴが あることに加えて魂が宿ることである。 それをそのまま白いシャツの世界に当て はめればいい。つまりノンストレッチの 白シャツはシンプルゆえに職人の魂が宿 るのだ。  偉そうなことを書いておいてなんだが、 実は僕のお気に入りはトーマス・メイソ ンの生地を使ったメゾン キツネの白シャ ツだ。おいおい、イタリアの名シャツた ちと比べるなよ、という声が聞こえてき そうだが、硬すぎず、柔らかすぎず、僕 のコーディネイションにはもっとも使い 勝手がいいのだから仕方ない。で、ふと トーマス・メイソンをインターネットで 調べてみたのである。  すると金港堂という金沢にあるシャツ 屋さんのホームページにたどり着いた。

どうやらオーダーメイドのシャツを作る ところらしい。ふうん。見るとトーマス ・メイソンをはじめ、たくさんの生地のメー カーの名前が並んでいる。そしていちい ちクリックすると生地サンプルがどさっ と並ぶ。これにはちょっと圧倒された。 ただしネット上のものは迂闊には信用で きない。オーダーだから、と高いお金を 振り込んでも何も届かないことだってあ るかもしれないじゃないか。それにして も、生地から入ってどんどん進むと、大 事なスタイリングからディテールに至る まで細かくオーダーができるようになっ ている。そして仕上がりの金額も極めて リーズナブル。これで本当に満足なもの ができるのなら大当たりなのだが...。  最初にオーダーしたのは当然のことな がらトーマス・メイソン。ブロード14 0番双糸の艶やかな白シャツだ。カラー はレギュラーであまり高くせず、ボタン 位置も極めて普通。ウエストにかけての 絞り方はわからないのでとりあえずレギュ ラーっぽい型を選び、備考の欄に、2セ ンチほどウエストを絞りたいのですが... と書いておいたら、数日後にメールが来 た。ウエストをおへその位置で測ってみ てくれ、もしメジャーがないのなら送る、 とある。すごいな。たかが1着のシャツ でそんなことまでしてくれるというのか ...。幸いメジャーは自宅にあったので測っ て送ると、今度はしばらくして写真が届 いた。こんなふうに仕上がりました、と いうのだ。カード番号を入力して支払い を済ますと数日後にきれいな箱に入った シャツが送られてきた。ひと目でイメー ジどおりであることがわかった。着ると それは見た目以上。これ以上ないくらい フィットしているではないか。それから というもの、僕はこのシャツ屋さんに夢 中である。合計4枚は作ったかな。とに かく型紙をキープしてくれているので、 前回よりもここをこういうふうに、とい うオーダーがきくのはなんとも嬉しい限 りだ。こうして痒いところに手の届くよ うなシャツが楽に手に入れられるように なった。  ちなみに金沢の親善大使のようなこと をやっているかみさんはこのお店に実際 に足を運んだそうだ。そして自分でもオー ダーをし、かなり気に入っている様子。 次のものをすぐにでもオーダーするそう だ。体にジャスト、用途にジャストとい うことを考えるなら、シャツはオーダー に限る、というのが僕の結論である。

当店がお客様にピッタリと合ったデザインのシャツを提案します。