最近はオーダーシャツ専門店やオーダースーツ店も、SNSを通じて情報を発信する時代になりました。中でもショート動画、いわゆる「リール」が主流となっています。しかしその中には、発信力がある一方で、やや一面的な、あるいは誤解を招く情報も見受けられるのではないかと思います。
昨日知人が送ってきたスーツ店の動画で、こんなフレーズを耳にしました。
「半袖シャツにジャケットを合わせるのは絶対にNG。ジャケットからシャツの袖が出るのがルールだから。」
一見もっともらしく聞こえますが、その"ルール"の背景や理由については触れられていません。ただ「絶対条件だ」とだけ断言されているのです。
その理由が語られてなかったのです。
なぜシャツの袖はジャケットの袖から出ているべきなのか?
本来、シャツはスーツやジャケットを汚れや汗から守るという役割があります。特に袖口部分は、汗や皮脂が付きやすい箇所です。
シャツは洗濯できますが、ジャケットやスーツはそう簡単には洗えません。だからこそ、ジャケットより少し長いシャツの袖が、いわば「ライナー」のような働きをしてくれるのです。
■オーダーシャツならではの袖丈調整
金港堂では、オーダーシャツの際に左右の袖丈を個別に採寸しています。実際には、左右の腕の長さが違う方の方が多く、体にしっかり合った袖丈を実現するための大切な工程です。
一方でスーツやジャケットは、既製品で済ませてしまう方が多く、袖丈の調整までは行われないことも。結果として、「左右でシャツの出方が違う」という現象が起こりやすくなります。採寸を行っていて自分の袖が左右の長さが違うということを知らない人もいます。
半袖シャツが悪いというよりも、「自分の体に合った袖丈かどうか」の方が、むしろ大切なのではないでしょうか。
■カジュアルジャケットなら半袖もあり?
確かに、仕立ての良いフォーマルなスーツに対しては、長袖シャツを合わせるのが基本です。しかし、ジャケットのすべてがそうとは限りません。
例えば、裏地のないコットン素材のカジュアルジャケット。こうした軽快なアイテムには、Tシャツや半袖シャツを合わせる方がむしろ自然な場合もあります。
季節やスタイルによって、半袖シャツをジャケットの下に着ること自体は"絶対NG"ではないと思うのです。
本当に暑くなってきた時に、Tシャツで出かけることがありますが、公共交通機関や建物の中に入った時には、カーディガン代わりにリネンやコットンのジャケットを羽織ることもありますし、私もそうすることはあります。
■情報発信に求められる「深さ」
ショート動画では、短い尺で視聴者の興味を引くことが求められます。そのため、どうしても断定的な表現になりがちです。
しかし、装いのマナーやスタイルには「こうでなければいけない」という一律の答えだけでなく、シーンや目的に応じた柔軟な判断も必要だと思うのです。発信する側にも、もう少し丁寧な説明があってしかるべきだと感じました。
まとめ|ルールよりも「目的」と「装いのバランス」を
「ジャケットの下に半袖シャツはタブーか?」という問いには、確かにフォーマルな場では避けるべきといえるかもしれません。それよりもジャケットを守るためには長袖であるべきだとも思います。
しかし、装いの目的や場面によっては、むしろ快適さやスタイルの一部として半袖シャツを取り入れるのも自然な流れです。
大切なのは、洋服の「役割」と「身体へのフィット感」、そしてシーンに応じたバランスを意識することではないかと思います。
細かいこと言いましたが、それよりももっと自由にファッションを楽しもうじゃないですか?

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ここまで書いたからこそ、逆に思いました。ディテールも大事ですが、楽しくお洒落をすること、コーディネートを考えること。私は女性の方がお洒落を楽しんでいると思うのです。明るい色の生地でもっと自由にやりましょう。
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